本の概要
タイトル:雑談の一流、二流、三流
著者:桐生 稔
出版日:2020年3月
総評
最終評価:6.0点(10点満点)
読むべき人:コミュニケーションのワンポイントアドバイスがほしい人
『雑談の一流、二流、三流』では、雑談の様々なシーンにおいて、一流であればどのような対応をするか解説をされています。一流だけでなく、二流や三流の場合の対応も説明されているので、自分がどの段階にいるのか判断することもできます。
全体を通して、一問一答のような形で構成されており、一つの課題に対して解像度の高い深い解説があるわけではないです。そのため、コミュニケーションにおいて何か特定の課題があり、詳細な解説をしてほしい人には、少し物足りない内容かもしれません。普段の雑談をレベルアップさせるために、気軽に取り入れられそうなワンポイントアドバイスが欲しいという人にとっては、とても合う本かと思います。
内容解説
本を読んで特に印象的だった部分を、簡単に紹介します。
一流は、挨拶にツープラスする
会話の始まりでよくある挨拶の仕方に関するテクニックです。三流は、「おはようございます。」と挨拶だけで終わってしまい、会話が続きません。二流は、「おはようございます。昨日は遅くまでありがとうございました。」と挨拶に一言付け加えます。一言付け加える方法は様々なセミナー等でも推奨されているテクニックのようです。ただし、これだけでは会話は続かないと筆者の桐生氏は言います。そこで、見出しに記載している「ツープラス」です。例で言うと、「おはようございます。昨日は遅くまでありがとうございました。しかし部長、本当にタフですね。」といった形ですね。二つ目を追加することで、次の話の展開を生むことができるそうです。話しやすい空気を作る先手を取ることが一流の人は上手ということでした。
一流は、たとえ話にして一発で伝える
何かを説明するときのテクニックです。三流はダラダラと話し、「この人は何の話をしているの?」となってしまいます。二流は完璧に伝えようとし、説明が長くなってしまいがちです。情報としては正確であっても、聞き手からすると情報量が多く、上手くイメージできないことがあるということです。そこで重要になるのが「たとえ話」です。上司の紹介が例で挙げられており、「うちの上司はいつも威張っていて、わがままで、人の話を聞かないんです」と言うより、「うちの上司はまるでジャイアンです」と言うと、一発でイメージできるということです。人間は文字で認識するより、絵で認識する方が圧倒的に速いため、言いたいことと似ているものを連想して伝えるだけで、伝わりやすさが大きく変わるようです。
一流は、あえて隙を見せる
なぜかかわいがられている人、何をしても許されてしまう人がみなさんの周りにもいるかと思います。三流は、そもそも好かれようとしません。二流は、仕事ができる完璧人間ということをアピールしてしまいがちです。しかし、完璧で隙がない人には、近寄り難い印象を受けてしまいます。実際にかわいがられる人というのは、どこか抜けていて「なんだか助けたくなる」「支えたくなる」と思われる人です。きちんと仕事はした上で、あえて弱みをみせ、いじられることで、特に年配の方には受け入れられるようになるということです。